2000年12月1日 嗚呼、スクワット

  6月からジムに復帰した理由の一つに、それまでの会社の福利施設ではスクワットがまったく行えないことがあった(デッドリフトもほとんど行えない)。そこには25年前のユニバーサルマシンと35ポンドまでのダンベル、50o径のバーベルセット(125kg)、そしてパワーラックがあった。しかし、パワーラックとバーベルセットは野球部の所有であり、それは常にベンチプレス用にセッティングされていて、野球部員以外使用禁止であった。
  そんなわけでスクワットは10年以上やったことがなかった。6月、かなり用心して再開してみた。65sで10レップスできるだろうか?と思いきや、さすがにそこまで弱ってなかった。ユニバーサルマシンでのレッグプレスはここ3年ばかりリキ入れてやっていたので大腿四頭筋には余裕がある。問題は臀筋群と下背部だ。ここは油断ができない。そこでまだるっこしいのを我慢して1回2セット10レップス、2週間同じ重量を使い、5kgずつ上げていくというルールを定めた。順調にいけば年内に125kgに到達することになる。
  案外順調に行くような錯覚に囚われ始めた頃、恐れていたことが起きた。腰に電気が走った。重量は80kgである。もうその日はトレーニングを中止して帰ったが、帰りに寄ったスーパーで歩くのが困難な状態になってきた。翌朝起き上がることができない。ゆっくり横に転がって腹ばいになり、徐々に身体を起こして布団の上に正座し、しばし考え込んだ。ドウヤッテ  ロフト  カラ  オリヨウカ?
  結局、1週間で完治したところを見ると原因はフォームが崩れて臀筋群が刺激に耐えられなかったようだ。大腿四頭筋には余裕があるのに、他のところ(心肺機能も含めて)が耐えられずにセットを終了するという状況がしばらく続いた。初めての経験であった。
  フォームも忘れ果てていて、思い出すのに時間がかかるだろうと思った。ところが、それ以前に10年前とはスクワットに対する考え方が大きく違っていた。そもそも私のスクワットは膝が前に出るあまり良いフォームでなかったのだが、10年前はそのことについてあまり警告はなされていなかったように思う。それよりも完全にしゃがまないことがもっとも悪いこととされていた。だから、そのつもりでフル・スクワットをしていたら、しゃがみが深すぎると言われた。フル・スクワットをするとケツが大きくなってかっこ悪い、などというのは首肯しかねるが、ともかくフル・スクワットをやるのはジムで私一人である(私のジムはパワーリフティング連盟から昨年脱退している。パワーリフターは一人もいない。)。
  そこでフォームを思い出す(悪い癖を思い出す)前にフォームを改造することにした。体重をかかとでささえ、尻を後ろに突き出すことで膝を前に出さないようにする。はじめのうちはそれで問題なかった。しかし、95kgを超えたら左の膝から足の甲にかけて痙攣が走るようになった。だいたい3、4レップス目に膝から下に向かって痙攣が走り、以後トレーニングを終えて家へ帰るぐらいまで足の甲に痺れが残る。必ず発生するのだが、原因がしばらく分らなかった。5回目にいたって、痙攣の発信源が膝ではなくてハムストリングス、膝の裏のすぐ上付近であることに気づいた。ハムストリングスの柔軟性が不足しているのだ。これは一朝一夕には治らない。時間をかけて柔軟性を高めていくしかないだろう。
  そんなこんなしながらもスクワットを続けながら冬を迎えた。厚めのジーンズを引っ張り出してきて穿いたら、穿けない。いや、穿くことはできる。しゃがめない。座れない。大腿が限界になっている。わずか5ヵ月、それもいろいろと不満な状況下での5ヵ月のトレーニングの結果である。スクワットの威力たるや、こんなもんである。
  夏場は絞ることもあって大丈夫だろうが、冬場はジーンズは諦めるしかないようだ。デニムのバギーはかっこ悪いし(好みの人もいるかもしれないが、私はかっこ悪いと思う)。