2002年1月3日 リカバリー(3)
12月はあまりトレーニングができなかった。予想された事態とはいえ、どうも波がある。トレーニングができるときは1〜2ヵ月続けてできるが、一度できないサイクルに入ると1ヵ月ぐらい続けてできなくなる。できないといってもまったくできないわけではないが、4週間で各部位2回ぐらいづつまで落ちてしまう。やっぱりメンタルなスポーツなのだなと思う。仕事が忙しくなると、やればできるのにジムに行かなくなる。行ってもいいトレーニングができない。
手術前に痛みでできなかったものは、プレス系ではインクラインおよびフラットのバーベル・ベンチ・プレス、プル系ではチンニング、ラット・マシン・プル・ダウンもパラレル・グリップでしかできない。それとハンギング・レッグ・レイズ。痛みを云々する以前に危険とみなしてやらなかったのがディップスとプル・オーバー。そのため、ラット・マシン・プル・ダウンを除いて手術後もこれらの種目は当面やらないこととした。なお、カールは別に問題なかったので、これは手術の傷による問題とみなして間違いないだろう。
したがって、問題が起きそうなのが胸・肩と背中である。胸・肩の再開初日はむしろ左に痛みが出た種目が多い。フラット・ベンチ・プレスには何の問題も起きていない。もっとも、女子供が扱うような重量だからな。ダンベル・インクライン・ベンチ・プレスも問題なし。ケーブル・クロス・オーバーで少し右に痛みが出た。その後もずっとこの3種目で来ているが、胸については肩関節を過伸展しないように注意している限りさほど問題はないようだ。ケーブル・クロス・オーバーもこのところは問題なくできるようになってきた。ただ、重量を増やしていってフォームが崩れたときが心配だ。
胸の種目については、これまでフル・レンジを意識するあまり肘を下ろしすぎていたのだと思う。ベンチ・プレスでも何もパワーリフティングの試技ではないのだから、バーが胸につかなければならないということはない。実際、グリップ幅を狭くすると胸にバーが接触するはるか手前で肘がベンチ台と同じ高さまで下りてしまう。また、同様に試技でないのだからグリップ幅を81cmぎりぎりまで広げる必然性は無い。グリップ幅が狭すぎると上腕三頭筋に効いてしまうが、広すぎると肩関節に負担がかかりすぎる。そのため、現在は以前より両手とも拳一つ分ずつ狭くしている。
肩の種目ではバーベル・フロント・プレスが痛くてできなかった。何回かやってみたのだがどうしても痛い。とくにセットを終えてラックに戻すときが極めて痛い。どんな解説書を読んでも、雑誌の記事を見ても、バック・プレス(プレス・ビハインド・ザ・ネック)は肩関節に負担がかかると書いてある。実際、その通りなのだと思うが、現実にやってみるとビハインド・ザ・ネックの方が痛みが少ない。また、スミス・マシンでやるとセットを終えるときに任意のポジションで終えることができるため、フリー・ウェイトでセットを終えるときの痛みを回避することができる。スミス・マシンについてはオーバー・ユースを引き起こして怪我につながるとする指摘があり、それもその通りだと思うのだが、一旦怪我をしてしまった後には有効な場合もあると思う。軌道がぶれないということは不測の事態を引き起こすリスクが低いということでもある。
サイド・レイズ、フロント・レイズに問題はなかった。が、ベンド・オーバー・サイド・レイズはネガティブ・ムーブメントでかなりの痛みが右肩にあった。ポジティブでは問題ない。かと言ってケーブルを使ったら痛みがないかというとケーブル・クロス・オーバーで痛みが出ているし、第一ケーブルを使うのはあまり得手でない。そこで、これは軽い重量で様子をみることにして続けた。このところ痛みがでるのは3セットのうち1レップぐらいになった。回復したこともあるだろうが、要領を掴んだということもあるのだろう。何かの拍子にフォームが崩れると今でも痛みが出るが、そのとき痛いだけで後に残らないようである。なお、アップ・ライト・ロウイングは危険とみなしていること、そもそも好きではないことからやっていない。
背中ではすべての種目で痛みが出た。やはりラット・マシン・プル・ダウン(オーバー・グリップ)が一番痛くて、今でもアップを終えてセットに入るあたりから痛みが出る。手術には直接関係無いが、これも以前とはやり方を変えている。以前は上体を後にやや反らし、斜め前方から大胸筋の上部へ引いてくるやり方だった。つまり、広背筋を意識したやり方だ。現在はワイヤーがスタートからフィニッシュまで垂直になるように、背中をややアーチさせてそれを保ち、鎖骨の上に引いてくるやり方にしている。これだと刺激は大円筋に集中する。痛くないポイントが極めて狭いらしく、痛いと思ってほんの少しでも肘の張りが弱くなる=肘が体幹より前に出ると余計に痛い。かといって、肘が体幹より後になると、それはそれでまた痛い。
ベンド・オーバー・ロウイングとワン・ハンド・ロウイングは最初のうち痛かったが、このところはあまり痛くない。重量もかなり増やせてきた。デッド・リフトはフィニッシュで肩を返すことができない。デッド・リフトは(床から引くのならば)フィニッシュで肩を返すことで上背部にも刺激を与えることができるので、必ず毎レップ返すようにしていたのだが、今はできずにいる。不思議なことに軽いほど痛いのだ。おそらく重くなると本能的にかばってしまい、自分で返しているつもりでも返しが浅くなっているからだろうと思うが。
それ以外ではトライセップス・プレス・ダウンで右肩に張りが出る。痛みが出る種目と張りが出る種目があるのだが、これは強烈な張りが出る。痛いわけでないので用心しながら続けている。
そんなこんなで、9月18日から全身のトレーニングを再開し、だいたい各種目3セットでピラミッド式。重量を増やしていって3セット目が一番重い、というやり方でやってきた。12月に入るとアップを含めて4〜5セットにする種目や、一部逆ピラミッド式を入れたりしながら、それでもまだおっかなびっくりである。ポージング時の痛みは時とともに軽減した。マスキュラーでは相変わらず痛みがあり、右のサイド・トライセップスが取れないが、スプレッドでの痛みはほぼ無くなった。そして、驚いたことにスプレッドでの痛みがなくなったころには見事に背中の広がりが復活していた。たったの2ヵ月である。それも女子供の扱うような重量で、おっかなびっくりやって2ヵ月である。怪我がなくて単に休んだだけならば、ロニーの言うように3ヵ月休んでも3週間で間違いなく取り戻せるのでは、と思った。