2003年3月22日 学連の人々(19・最終回)
ほぼ、1ヵ月ぶりの更新である。ああ、もう、毎日残業、残業、とどめに送別会で、この1週間はサイトを更新するどころか、トレーニングもできなかった。少し前からサイクル・トレーニングを試しているが、モノホンのアマチュアには難しい。仕事の都合でできない日が入るとそこで狂ってしまい、全体に狂いが生じてしまう。
さて、ご好評いただいている、このシリーズも今回が最終回である。最後の年は、自分が出ていないからなのだろう、そもそも記憶が曖昧になっている。自分は出ないので、後輩の指導に回った。そのため、新人戦のほうが印象に残っている。審査員もやった。
新人戦には我がクラブの1年生に横井君という有望なのがいた。入部したときから、良いフィジークをしていた。他にも最初から良いのがいたのだが、夏休み前あたりから来なくなって自然消滅してしまった。新人戦が近くなって頭角を現してきたのも1人いた。やはり1年生で、池田君だ。ただ、池田君はタニングに失敗して、ゼブラ模様になってしまっていたが。
審査員は私のほかに亜細亜大学の内藤君、東大の桝本君、明治の大崎君などであった。この席で、私が今年は出ないというと桝本君が驚いていた。私自身は、自分が他の選手からどう見られているかなんてまったく無頓着であったから、彼の反応に私のほうが驚いてしまった。ふ〜ん、俺って意識されてたのか?という感じで、新鮮な驚きであった。
このときの審査で、私は横井君を1位につけたが、結果は5位であった。私は審査員としてはまったく失格で、めちゃくちゃであったと記憶している。このときは1位と2位が同点になって、舞台裏に2人を呼んで再審査になった。私が2位に付けた選手と5位に付けた選手であった。私が2位に付けた方は仕上がりは今一歩だが、シンメトリーが良く、ビルダーのフィジークをしていた。5位に付けた方は、バルキーだが、オフに近い身体だった。だから、私の基準から言えば、この2人が同点1位になどなるはずがなかった。私は、たとえ新人戦だろうとコンテストは仕上がっていることが必要条件だと思っていた。仕上がった上で、バルクだのシンメトリーだの、ポージングだのが競われるべきだ。これは今でも変わらない。他の審査員は、新人戦ということで将来性を取ったのだと思う。だからバルクを評価し、仕上がりの悪さには目をつぶったのだろう。しかし、私はそれまで「絞れば凄い」と言われ続けて、最後まで絞れずに消えていったバルク型の選手を何人も見てきた。「仕上げる能力」もコンテスト・ビルダーにとって必須の能力なのであり、新人戦であろうと仕上げてこない選手は、その能力において他の選手に劣っていると判断するべきだと思う。(もちろん、仕上がりだけで優劣をつけるのも誤りだ。仕上がりに難があっても、バルクが抜きん出ていれば上位に来ることはあってよい。ただし、1位にするのはどうかと思う。ちなみに、横井君とは、月ボに何度か登場したLA在住の横井幹夫君であり、池田君とは、我がクラブ初の全日本学生チャンピオンになった池田健君である。)東日本学生選手権は予想通り亜細亜の内藤君、法政の須江君、明治の古畑君の優勝争いになり、須江君が初優勝した。我がクラブからは内川君が6位に入賞した。また、正確な順位は記憶していないが、片山君が20位以内に入賞し、全日本選手権へのクオリファイを得て、大喜びしていた。この片山君は2年生になってから入部し、当時学部は4年生であったが、我がクラブには珍しい端正な顔立ちの好青年であった。
Result 東日本学生選手権1988
優勝 須江正尋 法政大学
2位 古畑庄三 明治大学
3位 内藤格 亜細亜大学
4位 山中岳 東京大学
5位 川瀬浩司 北海学園大学
6位 内川健太郎 早稲田大学
7位 小池浩 東京大学
8位 神近哲郎 東京大学
9位 篠田真 日本大学
10位 堀之内修治 法政大学
団体
優勝 法政大学 2位 東京大学 3位 北海学園大学 4位 明治大学 5位 早稲田大学東日本の結果を見て、東大は必ずニューフェイスを育てるなあ、と脱帽していたら、そこへ全日本学生ディフェンディング・チャンピオンの牧志君が欠場する、という噂が聞こえてきた。なんと、タニング・サロンに向かう途中、バイクで事故って腕を骨折したという。事の真偽は分からないが、とにかくそんな噂が聞こえてきた。噂が真実なら、2連覇の可能性が高かったのだから、さぞや無念であっただろう。結局、この年の全日本は東高西低の結果となり、須江君が全日本も優勝、内藤君が2位となった。
Result 全日本学生選手権1988
優勝 須江正尋 法政大学
2位 内藤格 亜細亜大学
3位 古畑庄三 明治大学
4位 川瀬浩司 北海学園大学
5位 岡本浩一 京都産業大学
6位 宮崎晴行 阪南大学
7位 堀之内修治 法政大学
8位 長谷川真司 東北学院大学
9位 神近哲郎 東京大学
10位 小池浩 東京大学さあ、いよいよ、大団円である。昨年、須江君がMr.日本で復活を果たしたのは、皆さんご存知のとおりである。内藤君もボディビルにどっぷり漬かって活躍中である。古畑君もコンテストで活躍している。私も、去年コンテスト復活を果たした(今年は出ません、来年は多分出れません、仕事の都合で/+\;)。しかし、多くの人々の名前をコンテストのプログラムや、雑誌で見ることはない。このスポーツの衰退ぶりも、目を覆いたくなるような有様だ。あの輝かしい時代はもう戻ってこないのだろうか?
でも、私はまだあきらめていない。ボディビルは競技年齢が高いんだ。いつの日か、あの懐かしい人々と、再びスポットライトを浴びて戦う日が来るかもしれない。そう、信じたい・・・そう、信じている。