2005年9月11日 反省1
9月4日、JBBF東北北海道選手権大会に出場しましたが、予選落ちしました。皆様のご期待に沿えず、申し訳ありません。以下では、赤い字で書いてある反省は確信のあること、青い字で書いてある反省はそうではないかと疑いを持っていることです。
今回は初めての経験が多かった。トレーニングに集中できないのも初めてなら、真剣に出ることを後悔したのも初めてだった。それになにより、勝つつもりで調整を始めて、失敗に終わったのは初めてだ。仕上げずに出たことはあるが、仕上げるつもりでの失敗は初めてであった。
すべては、仕事との両立が出来なくなったことに原因があった。1月、人事異動にかかるという話になったとき、回避策を模索したがダメだった。私の会社は旧弊な会社で、未だに年に3回も定期人事異動がある。2月、3月、7月(役員の交代があるときは6月の株主総会の日)であるが、1月に異動にかかると言う話が出て、それがいつになるのか分からない。2月、3月はかからずに、5月の連休前になって、実はもう1年動かないと言う。しかも、それは3月1日から分かっていたと。
まったく、感動で言葉もねえよ。
こっちの事情が分からないのだから文句を言うことではないが、そういう状態だから、3月1日から減量を始めたが最初から飛ばしていかなかった。なにしろ、7月に異動にかかったら、ドタキャンになる。よって、最初はダイエットはするものの、カーディオはやらなかった。カーディオを始めたのは5月の連休明けである。つまり、残り4ヵ月を切ってからだ。これが、まず第一の失敗であった。ボディビルには「草ボディビル」は存在しない。日本の地方大会だろうが、世界選手権だろうが、Mr.Olympiaだろうが、仕上げるレベルは同等である。少なくとも調整を始めたら、ボディビルより大事なものがあるようではダメだ。思えば、「異動がどうなるか分からないから当面カーディオはせずにダイエットだけで」、と考えたとき、既に失敗が決まっていたといって良い。また、職場での立場が上がって、自分の仕事だけできればそれで良い、というわけにいかなくなり、トレーニングしてても仕事のばかり考えているようになってしまった。反省1:調整を始めたら、何よりもボディビルが大事。
このことは、カーディオをする時期がずれる、という致命的な失敗にもなっている。私が過去最高のコンディションであったのは、86年の関東学生新人戦のときである。このときは、12週間の予定で調整を始め、最初の1週間は2,500kcal、第2週は2,000kcal、第3週は1,500kcalとして、カーディオはだんだん増やしていって、第3週にはジョギング6km、30分になっていた。さすがに1,500kcalは辛く、第3週の終盤にはジョギングの足が出ない。3歩目あたりでもう前に進まない。歩幅がいつもの3分の1になる。そんなわけで、第4週からは2,200kcalでカーディオはなし。第10週の終わりにほぼ仕上がってとの判断をして、最後の2週間は2,700kcalにした。この頃は、トレーニングは3分割で週6日、ウェイト・トレーニングだけで1日5時間などということだから、今と単純に比較は出来ないが、カーディオの時期という点では理に適っていたと思う。カーディオは体脂肪が多い時期に強く、調整が進んできたら緩くするか、あるいはやめてしまうべきだ。
ところが今回は、身体が「カーディオはもうやめろ」という信号を出してからもカーディオを続けてしまった。これは明快な誤りだ。ある程度調整が進んでから、身体の発する信号に逆らってまでカーディオを続けると、自分の身体に誤った信号を与え続けることになる。ボディビルは、「自分の身体に、行動によって信号を与える作業」、である。誤った信号を与えると、身体は自分の望む方向とは違う結果に進むことになる。体脂肪が減少した状況でカーディオを続けるということはどういうことか。カーディオの発する信号とは、「一回一回の出力は小さいが、出力の積算時間は長い」、である。そのために必要な身体とは、「瞬発的な出力が大きい速筋繊維ではなく遅筋繊維が多く、かつ、長時間の運動を可能にするためできるだけ体脂肪を保っておきたい。筋力は小さくていいのだから、筋繊維の断面積が大きい必要は無い」、であろう。そして身体が「もうやめろ」というのにそれを続けるのだから、身体はそれに備えなければならない。よって、身体としては必要最小限の出力を可能にする筋肉を残して、糖新生により筋肉を燃料として使用し、一方で体脂肪は次なるカーディオに備えてできるだけ温存したい、ということになる。すなわち、いわゆる「しぼむ」という結果になる。
逆に、調整がある程度進んだ段階でカーディオをやめてウェイト・トレーニングだけにすると、「筋肉が長時間にわたって弱い出力を続けることはないのだから、体脂肪を温存しておく必要は無い。瞬発的大出力の筋力が要求されるのだから、速筋繊維が必要であり、筋繊維の断面積が大きくなければならない」、という信号を与えることになる。その状態で熱量の貸借が消費過多になるので、エネルギー源としては脂肪を燃焼することが理に適っているということになる。反省2:カーディオは前半、デブのうちにやるもの。後半、仕上がってきたらやめるべき。
今回は調整が進まなかったために、途中いろいろと思い悩んだ。前半で考えていたのは、いつも最終盤で急速に筋量を落とすのを防ぎたい、ということだった。いろいろな対策を考えたが、途中月ボのクリス・アセートのコラムに、「ある時期すべてのトレーニングを1セット6レップスにすることで、筋量の低下を防ぐことができる」、と書いてあるのを見た。これだと思った。私は通常のトレーニングで1セット6レップスということは、せいぜいスクワットとバーベル・ベンチ・プレスの最重量のセットぐらいしかない。他は8〜25レップスである(腹筋や首、カーフ、前腕は20レップス超のセットがあるが、他は15レップスが最高)。すなわち、普段以上に重量による負担を身体にかけた。その結果、右肩の痛みが希望的想定より2ヵ月も早く出てしまった。痛みが出てから、クリス・アセートが別の記事(クリス・クックの調整の記事)で、「誰の言うことも聞くな」と書いているのを見て、先にそっちを教えてくれよ、と思ったが後の祭りであった。
調整を始めたら誰の言うことも聞いてはならない。人のアドバイスは傾聴するべきだが、それはオフの余裕のあるときのことだ。余裕のあるときなら、受けたアドバイスを検討し、あるいは試して評価し、それを取り入れるかどうか決めることができるが、調整を始めてからではその余裕が無い。受けたアドバイスと心中するしか方策が無い。もし、どうしても調整中にアドバイスを受けたいと思うなら、パーソナル・トレーナーと契約を結んで対価を払ってやることだ。無償のアドバイスには責任が無い。相手が親しい人であれば、人間関係にまでひびが入りかねない。ましてや雑誌の記事だのネットの掲示板など。また、普段やら無いことをやるのは、リスクが高すぎる。関節がそれに耐えられるかどうかやってみなければ分からない、そんなことを調整中にやるべきでない。反省3:調整を始めたら、誰の言うことも聞くな。
反省4:普段やらないトレーニングはやるな。怪我のリスクが高くなる。