2000年2月7日 ストーンサークル

  秋田県北部には国の史跡に指定されている大湯環状列石と、大館能代空港建設工事で発見された伊勢堂岱遺跡という二つのストーンサークルがある。ストーンサークルというと誰しも日時計を思い浮かべると思うが、国内では日時計のあるストーンサークルは確かこの二つしかないはずだ。
  このうち、大湯環状列石は道路脇にあり、小さいながら道路を挟んだ向かいに駐車場もある。また、埋蔵文化財センター(正式名称はちがうかもしれない)もあり、観光地の体裁を持っているといっても言い。広い原っぱに金網でかこまれた場所があって、そこが遺跡である。誰でも金網の外までなら近づいて見ることができるが、草ぼうぼうの中にたくさんの石が並べられている。ストーンサークルというとイギリスのストーンヘンジや、「三つ目がとおる」などからの連想で見上げるような石の建造物を想像しがちだが、大湯環状列石の柱石は大人の膝より高い程度である。考えてみれば、これが日時計であるならばこの大きさで十分用が足りるわけである。
  一方の伊勢堂岱の方は残念ながら私はまだ見ていない。昨年、すぐ近くまで行ったものの最後の数百メートルが接近を阻んでおり断念した。この遺跡は田圃の真中にある林の中にあるのだが、舗装された道路からそこに至るには、擦れ違いが不可能な未舗装の直線道路を数百メートル行かなければならない。行った先に駐車場があるかどうかも定かでなかった。対向車が来たらどちらかがバックして振り出しに戻るか、田圃に転落するかである。あるいはもっと他に近づく方法があるのかもしれないが、そのときはたまたま立ち寄っただけだったのであきらめて帰った。ま、遺跡は観光施設ではないのだからそれでいいのだろう。
  秋田空港に隣接する県立中央公園にはストーンヘンジを思わせる石のオブジェがあるが、空港ができたときに作られたものである。今から数千年が経って、この石のオブジェが遺跡として発見されたなら(発見するのは我々とは違う種類の知的生命体かもしれない)、これは何に使ったものだろうと首をひねるだろう。今発見されている遺跡も、作られたときは案外ただのオブジェだったのかもしれない。