2000年6月26日 戦わない奴等に勝利なし
衆院選挙は思った通りといえば思った通り、意外と言えば意外な結果になった。
思った通りなのは投票率が低かったこと、森政権が存続したこと、公明党・保守党が惨敗したこと。意外だったのは自民党単独で過半数(240議席)に至らなかったこと、共産党が惨敗したこと、社民党が惨敗しなかったことである。
私はここまで自民党が議席を減らすとは思わなかった。というのは、公明党=創価学会に対するアレルギーが自民党に有利に働くと思ったからである。公明党の影響力を排除するには自民党を単独で勝たせるのが一番いい方法である。万一、与党が敗北して政権交代があったとしても、半年から一年で公明党が民主党中心の連立与党に復帰するのは見えているからだ。公明党にとって大切なのは自民党といっしょになることではなく与党でいることなのである。一方、民主党は既に選挙中から公明党に秋波を送っていたのだから、連立の数合わせが必要となれば何だかんだと詭弁を弄してこれを取り込もうとするだろう。このことを一番よく知っているのは自民党であり、しかも自民党は本来創価学会アレルギーを体質的に持っている。実際、今回の自公保の選挙協力は自民党が焼け太りし、公保を弱体化させる策略ではないかとさえ思っていたのである(そして、それは公明党、保守党が惨敗したことで、半ば達成されたとも言える。自分のところも減ったことは計算外なのか、それも計算のうちなのか?)。
選挙は戦いなのだ。もともと好戦的な党である自由党は議席を伸ばし、一途に護憲に拘る主張を続けた社民党も勝ったと言っていいだろう。一方、総裁の失言のおかげで危機感が漲っていた自民党は政権は維持したが議席を減らし、政権交代を目論んだ民主党は議席は伸ばしたが政権は取れなかった。ソフト路線とやらを標榜した共産党、選挙協力に逃げた公明党、保守党は惨敗した。要するに正面きって戦った党は勝ち、腰が引けていた党は負けたのだ。そもそも選挙戦のうちから連立を口にすること自体間違っている。だから自民党の小選挙区候補は「自分党」を標榜して戦いに臨んだのだ。
この辺りのことは各党反省すべきことであろうと思う。おそらく共産党はソフト路線の是非について党内で議論となるだろうし、公明党は名誉会長のご機嫌を伺うのに大変だろう。保守党に至っては存亡の危機である。選挙のような戦いは全存在を賭けて戦うべきであり、戦わない奴等に勝利は無いのだ。そのことを見せつけれられた選挙であったと思う。