2002年2月3日 振り出しに戻る

    田中外務大臣が更迭された(一応、形の上では辞表を出させたから辞任になるのかな)。これでこの政権は振り出しに戻った。支持率が急落したからといって急に活気付いた人々がいるようだが、それでも支持率は50%弱だ。歴代内閣は成立して1月もすればもっと低くなっていったことを考えれば、まさに振り出しに戻る、というか、今ようやく正常なスタートを切ったというところだ。
  田中真紀子氏を入閣させたこと自体が間違いだと思う(バックナンバー「リトマス試験紙」参照)。氏にはリーダーとしての資質が欠けている。そのことだけで更迭の理由としては十分だと思う。国会正常化のためなどと言わずに、大臣として担当省の部下たちを把握することに失敗したからと言えば誰でも納得できるだろう。でも、言えない。なぜなら、首相もかつて郵政相だったころ、自分もできなかったからだ。
  大臣更迭の理由がそういうことだと言ってしまえば、今回のごたごたを追及しやすくなる。まず、同じく更迭された(辞任した)事務次官であるが、この人は日経ビジネスの「敗軍の将兵を語る」というコーナーに手記を寄せて(というより、編集部から求められて)、一連の外務省不祥事について所感を表明している。興味の在る方はご覧いただきたいが、本気でこんな考え方をしているのだとすれば、私は主権者国民の1人として、そのような人物に国庫から給料を払うことを容認できない。事務次官として以前に、国家公務員として失格である。就任当初から「なんでこんな時期に私が」という言い方をしていたが、まったく器でなかったと断ぜざるを得ない。
  鈴木宗男氏はどうか。氏にしてみれば、自由民主党が保守合同以来続けてきたことをしたに過ぎないのだろう。ただし、それが正しいことではなく、バレれば世間から指弾されることであることも分っている。分っているから、そうしたとは認めない。認めないが、当のNGO幹部が自分たちにも恫喝があったと証言しているうえに、少なくともメディアの報道を見た国民は氏がウソを吐いていると感じたことだろう。
  野党はどうか。「無責任は男の武器」と土井党首が言っていたが、その言葉はそっくりそのまま社民党のお友達の大橋巨泉氏に向けられるだろう。氏を囲んで社民党のオバハンたちが「辞めないで」と哀願していたのには、もうなんと言っていいか分らなかった。あまりの見苦しさにTVのチャンネルを変えてしまった。民主党では熊谷国会対策委員長が怪気炎を上げていたが、選挙に引っ張り出してきた菅氏の責任を明らかにできるのかどうか。自由党の小沢党首のコメントには笑ってしまった。自分が自民党の幹事長(宮沢内閣)だったときはどうだったと言うのか。何の事は無い、ドンが居てすべてが見えないところで決まっていただけではなかったのか。
  人寄せパンダが居なくなって、いよいよこの政権は実績勝負になってきた。要するに、正常になった。現実に改革は今のところ一つも実現してない。そう、ただの一つも。来年度当初予算が最初の勝負、時間と競争して実績を上げていけるかどうかだ。

(それにしても、後任の環境大臣は大木氏・・・この人は確か京都会議のときの環境庁長官じゃなかったか?自民党内で権力闘争が起きたからと言って、会議(それも自分が議長)をほっぱらかし東京に帰ろうとして京都駅からNGOの人たちに引きずり戻された、あの人じゃあ?)