2002年4月21日 戦争責任

  今日、突然小泉純一郎氏が靖国神社に参拝した。それを見た菅直人氏が自分のことは棚に上げて、姑息だと非難していたのには笑ってしまったが。靖国神社にはA級戦犯が合祀されている。宗教団体が何を祀ろうが勝手であるが、そこに内閣総理大臣が頭を下げにいくというなら、少し問題がある。
  まず第一に、憲法上疑義があるが、これは詳しく言うまでも無いだろう。より問題なのがA級戦犯の扱いである。A級戦犯というのは、国際法上東京裁判で初めて導入された概念で、「侵略戦争を計画・遂行した」責任を問う「平和に対する罪」に相当する犯罪なのだそうだ。要するに戦勝国から見て、敗戦国の指導者を断罪する最高の罪のことだ。そんなことだから、この国の右利きの人たちはこの裁判を不当で無効な裁判だと断ずるのだろうし、戦勝国である中国、韓国は内閣総理大臣の靖国神社参拝を非難するのだ。
  では、仮にこの東京裁判を無効だと仮定して、A級戦犯と言われる人々は無罪だろうか。日本は太平洋戦争に敗北した。はっきりした人数は分らないが、300万人以上の日本人が犠牲になったと記憶している。A級戦犯と言われる人々は戦争を指導した人々である。したがって、負けたことに責任があり、この戦争で殺されたすべての人々の死に責任がある。確かに、日本人の頭上にジェノサイド爆撃を加えたのはヤンキーどもであるが、それだって、日本が賢明に戦争を戦い勝っていればあれほど多くの犠牲を出すことは無かったのではないか。多くの国民を死に追いやって、勝てばともかく、負けた。そんな奴らをどうして神として祀るんだ?
  東京裁判は開かせたことに問題がある。そんなものを開かせる前に、日本人自身が日本人に対して犯した罪でA級戦犯と言われる人々を断罪しなければならなかったのだ。この国では未だに官僚だの政治家だのは結果責任を取らないが、そのことがこの国をここまで閉塞させた原因である。官僚だの政治家だのは大きな権力を持ち、今でも現実に多くの国民を死に追いやるような失敗をしでかしているではないか。それだけ大きな権力を持ってことに当たっているのだ、命懸けでやれ。「失敗したら、最悪吊るされる」そのぐらいの覚悟をもっていて然るべきだ。