第2日 十六羅漢

  十六羅漢岩は山形県遊佐町吹浦(ふくら)にある。遊佐町は秋田県象潟町の南にあって、ともに松尾芭蕉の足跡が残る地である。

99年5月1日 撮影 十六羅漢遠景

   秋田から7号線を南下すると基本的には海岸線を走ることなる。海岸線の風景は別にどうということもない日本海の海岸線なのであるが、それでも山の中を走るよりは良い風景だ。途中、本荘市で市街地に入る手前ほんのちょっとした丘というか、山というかになって行く手が見えなくなる。坂を登りきって丸大ハムの工場のあたりで突然前が開け、鳥海山の大パノラマがお目見えする。この時期は北側斜面はまだ雪に覆われていて絶景かな、と言いたいところだが、曇っていて見えなかった。ゆえに写真はお預けである、あしからず。
  南下するにしたがって晴れていた空が暗くなり、金浦町あたりで遂に雨が落ちてきた。誤解されがちだが、Akitaniaは春から秋にかけてはsunny weatherが多い地域である。4月〜10月だけで較べると全国一日照時間が長いというデータもあるそうだ。夏にお出でになる方は注意が必要である。東北だから涼しいだろうとか、暗くじめじめしているだろうなどと考えてくるとえらい目に遭う。帽子とUVケアが必須なのだ
  なんだか雨に向かって走るような感じになっているので気が重くなった。なにしろ、県境を越えてしばらくは海沿いの狭いワインディングになるのだが、ぶっ飛ばして走る輩が多いのだ。以前、後からビートにあおられて切れてしまったことがある(ガキめ、そんなちっちゃいので俺様についてこれると思うのか!!!!!)。車は先月ぶつけて歪んだままなので無理も利かないし、かといって自分の性格も急に治らないし・・・などと思っていたら道路が新しくなっている。十六羅漢は鳥海山麓の磯にあるのだが、それより内陸を通る道路が建設されそちらの方が7号線ということになったらしい。おかげでそこから先は閑散とした道になっていた。
  着いてみるときな臭い天気はそのままだが、雨は落ちてこない。やたらに人手が多く北陸方面のナンバーが多い。言葉もイントネーションも聞き慣れない人が多い。ここが人でいっぱいなのは初めてだが、考えてみると黄金週間や夏休みのシーズンに来たことがないのだから、当たり前だ。

ホンダ・ホンダ・ダー・ホンダ(他意はなし、十六羅漢の駐車場)

  いつもは羅漢さんはどうでもよくて磯溜りを覗きに来るのだが、曇りなので何にもいなかった。当日が曇りだったり前の日が雨だったりすると、磯溜りが濁っていたり波が荒かったりして観察には良くないようだ。海は不気味にうねっており、今にも突然海面が山のように盛り上がって襲いかかってきそうな錯覚を覚える。私は山の民なので海は不得手であり、怖いのである。だから必ず磯にいる時は一定間隔で海を見ることを忘れない。ここはこの季節にくると、色とりどりのアメフラシ(ウミウシかな?)がひらひら、ひらひらしているのを見ることができる。身体に毒を持っているのか、磯溜りでは天敵がいないのか、間近から覗いても別段逃げるでもなく、ひらひら、ひらひら。それをボケーっとして眺めて帰って来るのだ。やっぱり、俺ってイカレてる?
  去年までと較べて大分整備されている。羅漢像の説明のプレートも作られている。それによると、羅漢像は元治元年から明治初年に作られたものだというので、そう古いものではない。羅漢像、羅漢像と無造作に書いてきたので、それがどうしたと思われたかもしれないが、ここの羅漢像は磯の自然の岩に彫られているのが特色である。十六あるのだが、風化が激しくてほとんど表情が読めないものもある。

中心に鎮座ましますのはもちろんお釈迦さんで、頭の上に石を積まれているのはヒンドラバラダージャ尊者という方だそうだ。尊者も観光化すると形無しである(もっともこの国には収監されている尊師もいる。最低ですかぁ?やっぱりミイラは死んでいる。)。面体が怪しくなっているのはバナバス尊者である。
  磯だから無論釣り人もいる。行ってみようと思ったのだが、決死の覚悟がいるような場所だったのでやめにした。釣りは小学生のころは良く行ったのだが、「スクワーム」という映画を見て以来やめている。よって何が釣れるか分からない、ごめんなさい(ひょっとしたら、釣れないかも・・・)。

交通(Road map)

  秋田市内から制限速度+で1時間半、途中西目町と象潟町に道の駅あり。7号線を南下していき、遊佐町に入ってから「十六羅漢」の標識が出ているところでY字路を右(旧7号線。今も国道ですが、号数は失念しました)に行き、間もなくです。秋田空港から行く場合は、直線距離ではこちらの方が近いのですが内陸から海岸線に出る必要があるので、ひょっとしたらもう少しかかるかもしれません。JRは羽越線吹浦(ふくら)駅下車。
  海岸で海水浴場も近くにあり、夏がシーズンです。また、同地は夕日が売り物ですが、残念ながら私は夕方に行ったことがありません。
  なお、吹浦の海水浴場はそんなことありませんが、Akitaniaの沿岸は一見遠浅のようで、岸にごく近いところに深い溝のある地形の場所があります。そういうところでは波が海底に向かって巻きこんでおり、大変危険です。遊泳禁止になっているのですが、事故に遭う人が絶えません遊泳禁止場所では海に入らないで下さい

関連ページ
小説あるいは妄想のページ  「ファイナル・コンタクト 第4章

2000年5月14日